無数の光の点が、ホタルの浮遊を模倣するかのように宵闇を飛び交うインスタレーション。 作者のStudio Toerは透明なカプセルに収めたLEDの光というミニマルな装置で何百もの光の点を表現し、金属のワイヤと小さなモーターを取りつけることで予測不可能な光が自然と周辺を動きまわる環境をつくりだした。 光を放ち、颯爽と飛び立つかと思えば、宙にとどまる。 この光の作品は、生きたものの発光（bioluminescence）によって闇に輝く、ホタルの生態にインスピレーションを受けて制作されたものである。

インダストリアル・デザイナーのワウテル・ヴィダーショーフェンとアーティストのカストル・ブールは、2007年からStudio Toerとして活動を始めた。 彼らの作品はプロダクトと空間デザインの境界を探求し新たな介入を模索している。 彼らのキネティックな作品は、繊細な素材と明確なビジュアル・ランゲージによって特徴付けられ、作品の着想はすべて遊びの自由から始まっている。

探求的・実験的アプローチを特徴とするStudio Toerは、光のインスタレーションやオブジェからインタラクティブな体験や革新的な製品まで、幅広い応用芸術の分野でデザインの技術的・美的限界に挑んでいる。 彼らのインスタレーションは、太陽エネルギーで雲のように膨らむ日傘「Cumulus」など世界的に注目を集めており、世界のさまざまなフェスティバルで楽しむことができる。

この光の竜巻は、自然界における破壊的な現象と壮大なファンタジーを融合させたアートインスタレーション。 都市に突如として現れる光の竜巻。 そのとき人々は畏怖するのか、驚愕するのか、それとも魅了されるのか。 アーティストのUxU Studioによれば、暗闇の中で巻き上がってくる白い光は、人類が持つ力について問いかけてくるという。 「来たる〈人新世〉に向けて、私たちは人間としての能力をより賢明に使っていくことができるのだろうか？」と。

UxU Studioは、台湾の建築家・デザイナー・デザイナーコレクティブである。 彼らの実験的で学際的なアプローチはありふれた素材で作られることが多く、その結果大きなインスタレーションが生まれることもある。 また、認識できるものやイメージを超現実的なサイズに縮小することもある。


私たちが家を建てるのは、身を守る場所としての意味合いだけでなく、「ホーム」という感覚を掴むためでもある。 こうしたことを行うのは、なにも私たち人間だけではない。 特定の鳥たちもこの種の習性を持っている。 たとえばニワシドリ。 雄のニワシドリは雌が好むようなパートナーとなるために巨大な巣をつくる。 このインスタレーションは、ニワシドリの巣にインスパイアを受け、内側から反転した構造をもつ外骨格の原則に倣って制作されている。 動物の生態に触発された技術を応用した建築物はよく建てられることがあり、有機的建築（organic architecture）と呼ばれる。

作者のVikas PatilとSantosh Gujarによる作品『ネスト』はこうした動向にインスパイアされており、私たちにオープンマインドで建築を見るためのきっかけを与えてくれている。 私たち人類にとって、恒久的に存在する建造物だけを建てていく必要があるのかどうか、もう一度見直してみることは有益なことかもしれない。

ヴィカス・パティルはインド出身の建築家、照明デザイナー。 ミラノのIstituto Europeo di Designで修士号を取得。 2011年よりムンバイを拠点とするStudio ALBA Lighting Designのディレクターを務めている。 サントシュ・グジャールはインド出身の建築家。 ムンバイのSir JJ College of Architectureにて建築を学び、現在はコンサルタント・アーキテクツとして小さな建築事務所との仕事が多く、デザインや地域開発に関する知識を共有している。

My Light is Your Lightという作品は、存在の不確かさを物語っている。 曲線を描いたネオンのチューブでできた6人の等身大の人物像は、はるか遠くからやってきた者たちかのように立っている。 彼らはアーティストのAlaa Minawiが表現する難民たちだ。

ネオンライトをアートに持ち込むことは、しばしばマスメディアによるメッセージの伝達方法を示すが、Alaa Minawiはまったく異なる理由でネオンを作品に用いた。 2010年から2014年の間難民の通訳者として働いていた彼によると、彼が目にした難民たちもネオン管の光とおなじような柔らかで物静かな輝きをその身に滲ませていたという。 6人の姿は、長い間歩き続ける父と母、祖父と叔母、そして二人の子どもたちから成る家族を表現している。 最も若い者が何か興味深いものを見つけたようだ。 このインスタレーションが反映するのはそのような過酷さと希望の両方である。

アムステルダムを拠点に活動するパレスチナ系レバノン人アーティスト。 インスタレーションとパフォーミング・アーツの融合の可能性を追求している。 また観客をアートへの活動的な参加者としてだけでなく、パフォーマンスの構造において不可欠な要素として巻き込んでいこうと試みている。

数百匹もの光り輝く蝶々が群れをなして一挙に上昇飛行していく。 「On the Wings of Freedom」は、テクノロジーが目まぐるしく社会を変化させているということ、一方で、私たちはあまりにもその変化について考えを深めようとせずにいるということを伝えようとしている。

また、この作品は都市の変容についても示し出している。 作者は蝶というモチーフを介して「都市とは、変化し続けてこそ都市である」と、私たちに投げかけている。 一匹の蝶の羽ばたきが嵐を引き起こすともあると言われるように、この蝶々たちが共になって、光とクリエイティビティの嵐を巻き起こすことを願う。

現代アートのインスタレーションや光の作品、インタラクション・デザインを制作するアートデザイン・スタジオ。 Gloria RonchiとClaudio Benghiによって、2008年に発足したコレクティブ。 光とデジタルメディアを組み合わせたメディウムを活用し、人々を環境とつなげる魅力的な空間を創造する。

３人の人物像がベンチに並んで座り、スマートフォンをいじる私たち現代人の典型的な特徴を示している。 頭を傾け、指でタイプやスワイプをし、顔はスマートフォンのスクリーンによって照らしだされている。 彼らの体は物理的に存在しているにも関わらず、心はどこか別の場所にあるかのようだ。

ここを訪れる人たちは作品である人物たちの間に座ることで、こうしたスマートフォンをいじるユーザーたちの行為が他者にどのような影響を与えているかを体験することができる。 この作品はイギリス人アーティストのGali May Lucasがデザインし、ベルリンを拠点とする彫刻家Karoline Hinzが制作したものである。

文字どおり、そして比喩的にも私たちの生活を明るく照らすスマホやパソコンの画面は、たまらなく魅力的だ。 私たちは新しいメッセージをすぐに読み、ソーシャルメディアや便利なアプリ、ブラウザに簡単にアクセスする。 ベッドでも、トイレでも、電車の中でも、デスクでも、スマートフォンはいつも私たちのそばにある。 家族や友人、さらには地球の裏側にいる人々との接触の延長線上にある。 その結果、私たちはお互いに、そして私たちを取り巻く現実世界よりも、バーチャルで表面的な現実とより深く関わっている。 アーティストのルーカスはこのことを痛切に明らかにしている。 観客を積極的に「物語」に巻き込むことは、イギリス人アーティストの作品に繰り返し見られる特徴である。

しかし、それに対抗する動きも出てきている。 いくつかのハイテク企業は、携帯電話をあまり見ないようにする方法を開発している。 タイマーをセットしたり（自分たちの子供にも）、利用状況の統計を表示するようにしたり、通知オフ機能を活用したりする。 しかしこのような介入が本当に変わるかどうかは疑問だ。 当分の間、私たちは現実を掘り下げることよりもヴァーチャル・リアリティの中に入り込むことを好むようだ。

イギリス人アーティスト、ガリ・メイ・ルーカス（1992年）は、コーンウォールのファルマス大学をグラフィック・デザイナーとして卒業。 これまでデザイン・ブリッジやVault49といった国際的なブランド・デザイン・エージェンシーで働く。 これらの経験はルーカス自身のクリエイティビティへのアプローチと密接に関係している。 ルーカスはまた、写真やイラストレーションを取り入れた自主制作も行っている。

虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの建築をデザインした重松象平/OMA NYによる、特別インスタレーション。 人、水、自然光、電車、車などの「動き」が集約されるアトリウムに浮遊するモビールは、変わりゆく空気や光の動きを可視化する。 五つの星は虎ノ門ヒルズエリアの五棟の建築群であり、ゆっくりと回転する様は、ダイナミックに変化する虎ノ門の街を表現している。

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